• まだ見たことのない衝撃の問題作始動LINK
  • 理想の監督・脚本家タッグLINK
  • 土屋太鳳×芳根京子のW主演が決定LINK
  • こだわり抜いた2人の人物造形LINK
  • 2人で作り上げた累とニナLINK
  • ぶつかり刺激し合う女優魂LINK
  • 2人を支える実力派キャスト陣LINK
  • 土屋と芳根による圧倒的パフォーマンスLINK
  • キラキラした少女漫画とは一線を画す、妖艶な女性が強い目力でこちらを意味深に見据える表紙の数々。最初は、目をそらせないその“美しさ”に惹かれて手にとったと言う本作のプロデューサー=上原寿一(以下、上原P)。松浦だるまの初連載作品である原作コミックは2018年7月末現在累計230万部を突破するヒットコミックとなり、女性の美醜と狂気を真正面から扱った物語は多くの人に衝撃を与え続けている。上原Pが原作に出会った2015年当時は、若い女性をターゲットにしたいわゆる“学園ものラブストーリー”の全盛期。だが『累』の熱狂的ファンの多くも、やはり女性達。累という強烈なダークヒロインの壮絶な生きざまを、女性に響く映画作品として新しいムーブメントを起こせないだろうか。そんな思いで原作サイドに映画化を申し入れたのが、2015年末。当時、映像化のオファーは殺到していたものの、2人の女優に火花が散るような対決をさせ、映画として作品を再構築したいという上原Pの想いが原作サイドの心をつかみ、翌2016年には映画化が動き出す。

  • 間違いなく衝撃的な話題作になるという期待を持って動き出した映画版『累 -かさね-』。上原Pは映画化が正式に決まってすぐに、佐藤祐市監督にオファー。佐藤監督といえば映画、ドラマ共に多くの話題作を手がけている演出家で、ドラマから映画化もされた『ストロベリーナイト』での心に深い傷を負ったヒロインの闇をえぐってみせた手腕も記憶に新しい。「ちょうど女性同士のドロドロした愛憎劇をやってみたかった」と言う監督から快諾をとりつけ、脚本は『LIAR GAME』シリーズで若者の心を掴み、「僕のヤバイ妻」では市川森一賞を受賞、その才能が広く認められている脚本家=黒岩勉に依頼。まさに『累-かさね-』を制作する上で最高のチームが揃った。

  • 脚本作りと並行して行われたのがキャスティング。キスで顔が入れ替わるという設定を映像上成立させるため、ある程度背格好も似通った同世代の2人の若い女優が必要だった。しかも、それぞれに1人2役演じてもらう必要があり、更にニナの顔を演じる女優はいくつものハードな舞台劇をこなすことが求められ、累の顔を演じる女優は顔に大きな傷メイクを施しての芝居を余儀なくされる。何より“顔の入れ替え”という、一見するとあまりに現実離れした設定に説得力を持たせることができる演技力は必須だった。そんな難条件を前に制作陣が白羽の矢を立てたのが、土屋太鳳と芳根京子。共にNHKの朝ドラの主役を経験し、国民的な人気を獲得した女優。その確かな演技力は誰もが知るところだが、爽やかな清純派とも言える人気者2人に、このインパクトの強いダークなキャラクターを演じてもらったら面白いのではないかと打診した。しかし、上原P自身も「どちらもすごく高い演技力が求められる非常に難しい役で、女優さんにとっては本当にハードルの高いオファーで覚悟が必要だったと思う」と言うぐらいの難役で、2人とも実際大変悩んだというが最終的には出演を決断。「これまでいろいろな経験を積み重ねて来た2人だからこそ、ある種ダーティーな役をやってこれまでのイメージを壊してみたいという気持ちがどこかにあったんじゃないでしょうか」(監督)。
    「王道のラブストーリーをど真ん中でやっているような若い世代のお2人が、それとは真逆に振れた作品をやることも面白味のひとつ」という制作陣の狙いにもピッタリはまった、贅沢なW主演が実現することに。
    そして全員が2人の運命を翻弄するキーマンとも言えるその他の登場人物には、個性的な俳優陣が名を連ねる。累とニナの心を揺らす気鋭の演出家=烏合には横山裕、累の亡き母であり伝説の舞台女優=透世には檀れい、そして累とニナの両方に深く関わっていく謎の男=羽生田には浅野忠信が、それぞれクセのあるキャラクターを熱演することに。

  • 美醜がテーマとなり、更に顔の入れ替わりという難題をも成立させないといけない本作。
    各キャラクターの人物造形にもこだわり、人物デザイン・ビューティーディレクターとして第一線で活躍し、「龍馬伝」、『寄生獣』、『シン・ゴジラ』など数々の話題作を手掛ける柘植伊佐夫にも参加を依頼。「“美”と“醜”は表裏一体、あくまでその両方がテーマであり、醜い累であっても、時として醜い中にある美しさや妖艶さを感じさせる瞬間が必要で、どうすればそれが両立させられるかが最大の悩みだった」という上原Pだが、美のスペシャリストの参加により美醜の絶妙なバランスを取ることができた。
    8月のクランクインを前に、土屋、芳根は延べ5日間もメイクテストや衣裳合わせを行った。これは映像作品としてはかなり多い方であるが、互いが入れ替わるという特殊な設定を観客に違和感なく受け入れてもらうためには必要不可欠なこと。顔が入れ替わった後は相手の着ていた衣裳を着なければいけないため、2人が共に似合う服を選定しなければならない。同時に、累が選びそうな黒をベースにした暗めの衣裳や、ニナの好みに合った赤系の華やかな衣裳など、キャラクターの設定を引き立たせることも必要で、その条件を満たした撮影で使う衣裳は実に20着以上に及んだ。ちなみに物語の中盤以降、徐々に累がニナを支配する立場に変わっていく際には、累を象徴する黒系の衣装を、ニナ(の顔をした累)もまとうようになっていく。これはニナにプロデュースされた累ではなく、「累が自分の意志でニナになっていく」ということを表しているためだ。
    同時にヘアメイクにも細心の注意が払われる。累の孤独を引き立たせる手入れがされていない髪と、華があるニナの艶やかな髪で、2人の人生の差を表現すると同時に、顔が入れ替わった後にも説得力のあるビジュアルを維持できるような、緻密なアレンジ作業がじっくりと行われていった。また、入れ替わりの最重要アイテムとなる赤い口紅は、マットな発色が美しいものを採用。そしてその口紅のケースは、昔の化粧品を参考にしながらスタッフが制作。透世から譲り受けたという説得力を出すため、あえてレトロな雰囲気のケースに仕立てた。

  • 役柄に反して2人は現場では非常に仲良し。「一緒にいる時はベタベタしてましたね(笑)」(監督)と言うほど、初共演ながら息はピッタリな様子だった。しかしながら、共に1人2役を演じることになる土屋、芳根は、土屋に至っては劇中劇の役を含めると1人3役も4役もこなすことになり、芳根も毎日1時間以上かけた特殊メイクで傷を作るなど、心身ともにハードな撮影であった。加えて事前に制作陣から「累とニナは1人で演じるのではなく、2人で作り上げていってほしい。そのためにお互いの演技をよく見て、繋がるようにしてほしい」というハードルの高いリクエストを受けていた2人。現場では明るく振舞っていても、内心悩むことも多かった彼女たちに「お互いに演技日誌みたいなものをつけたらいいんじゃないか」と提案したのは、浅野だったとか。その言葉を受け、まるで交換日記のようにお互いの芝居についてのメモを交換し合った2人。その他にも、役柄を2人でつくり上げるために密なコミュニケーションを行い、日を追うごとに芝居の精度を高めていった。

  • 「直感でも動けるけど、自分の中できちんと積み重ねたものを現場で出す。本当にすごく真面目な人です」(監督)と評価される土屋は、どんなキャラクターを演じるうえでも徹底的に準備をすることで知られる。今回もその徹底ぶりを発揮。あるシーンの前には、ロケ先に宿をとっていたにも関わらず、わずかな時間を見つけて東京にとんぼ返り。その目的は、原作者の松浦が本作を執筆するうえでインスピレーションを得たと公言している「怪談累ヶ淵」にゆかりのある“累塚”へのお参り。自身の芝居の成功を祈願したという土屋の、この映画にかける想いにスタッフ一同感嘆した。
    対する芳根は、「どちらかというと感覚的にお芝居をするタイプだけど、瞬発力がすごい」(監督)。心に迷いが生まれた累が羽生田に髪をひっつかまれて、顔を鏡に押し付けられ、自分の顔の醜さをまざまざと見せつけられるという壮絶なシーンで、芳根が発した耳を覆いたくなるような悲痛な叫び。カットがかかった後、「今のよかったよ!」と笑顔で声をかける浅野に、ほっとしたような表情を浮かべる芳根も印象的だった。全く異なるタイプの2人が、芝居ではぶつかりあい、共鳴し合って、さらなる高いステージへと飛翔していく。そのエネルギーが映像に満ち溢れている。
    物語が結末に向かって走り出す転換点となる、“ニナが持病による長い眠りから目覚めた後のシーン”では、土屋、芳根共に渾身の芝居を見せる。ニナは、眠りに落ちていた間に自分の顔をした累が成功させた舞台「かもめ」の映像をテレビで鑑賞し1人涙するが、実はこのシーンはテストなしの1発本番。撮影の谷川創平が、土屋の感情が出来上がっているのを察し監督に「テストなしでいきませんか?」と提案。その狙いに応えるように、カメラを回した瞬間、土屋の目からは大粒の涙がこぼれ落ちる。自分の人生を奪われつつあることを悟ったニナの、後悔と深い悲しみが胸に迫る名シーンとなった。またニナの母親が上京した時のマンションでのやり取りでは、自分の大好きな母親を目の前にしながら、累の顔をしたニナは声もかけられない、その痛切な表情をする芳根の芝居に、監督も「なんて残酷なんだ!」と思わず一言。もはや引き返せないところまできてしまった累とニナの取引き。いつの間にか、ニナから累へと主導権が移っていくことを如実に表した残酷なシーンともなっている。

  • 累とニナの双方から想いを寄せられる烏合を演じた横山裕。バラエティ番組で見せる明るいキャラクターも魅力的だが、ミステリアスな烏合を演じるにあたっては彼のどことなく憂いを含んだ“目”とセクシーな“唇”がポイントに。累とニナのキスシーンは感情のない、いわば儀式的なものだが、ニナと烏合のキスシーンには“恋”という確かな感情がある。「撮ってみて思いましたが、感情がないキスシーンは美しいけどそんなにドキドキはしない。逆にニナと烏合のキスシーンはセクシーに映る。横山さんもこちらの要求に素直に応えてくれる人なので良いシーンになりました」(監督)
    亡霊として度々累の前に現れる、今は亡き累の母であり伝説の女優と呼ばれた透世は、回想シーンでの舞台劇も含め「本物の舞台女優さんにやってもらいたかった」という制作陣の熱烈な思いから檀れいにオファー。在りし日の透世が演じた舞台「かもめ」の撮影では、スタッフ一同「かっこいい!」と絶賛。「やっぱり舞台をやっている女優さんは映えますね。檀さんの底力を見た気がします」(監督)
    監督に「羽生田のシーンはどれも大好き! 出てくるだけで楽しくなっちゃうんです」と言わしめたのが、浅野の怪演の数々。観るものに不信感を抱かせる軽い口調と、その後ろにうっすらとにじむ狂気。ベテラン俳優の絶大な存在感は現場を引っ張った。「何をやっても浅野さんが受け止めてくれるっていう安心感は2人(土屋、芳根)にもあったと思います」(監督)

  • 本作の見せ場となる劇中劇の完成度に磨きをかけるため、多忙なスケジュールの合間を縫って、クランクイン前から「かもめ」と「サロメ」の撮影に向けて稽古を積んだという土屋。今年1月に初めて「プルートゥPLUTO」で舞台を踏んだ土屋だが、撮影当時は舞台の経験はなく「映像作品で初舞台を演じる」という特殊な状況。「舞台をやるのが夢のひとつだった」と言う土屋にとっては、かなりのプレッシャーだったに違いない。加えて、当初は発声に不安があったという彼女。一日中、声を出し続けた稽古の翌日には声が潰れてしまうこともあったというが、クランクインに合わせて見事にその問題を克服してきたその体力と努力は制作陣を驚かせた。全スタッフをうならせた「サロメ」で披露した圧倒的なダンスは、土屋のパフォーマンスの素晴らしさから予定よりも長尺のシーンに。ニナの顔をした累が演じるサロメ。狂気と欲望が渦巻くこの難役を、見事にダンスに昇華させてみせた土屋の鬼気迫る姿は、本作のクライマックスに相応しいものとなっている。
    そして、衝撃のラストシーンを飾るのは「サロメ」の終盤の一節。土屋と芳根、2人が全く同じ一節を演じたシーン。2人の芝居が入り乱れるように編集された完成映像は、それぞれの全身全霊の芝居がぶつかりあい、息もつけない緊迫感と迫力がみなぎっている。
    女優“丹沢ニナ”が完成されていき、輝くステージへとのし上がっていく様子を舞台上の芝居で表現することが求められた土屋。特殊メイクだけでは表現しきれない累の醜さと人並みならぬ劣等感を芝居で表現することが求めれられた芳根。「そこはある種、2人の女優の力量に頼るしかなかった」という上原Pだが、2人は期待をはるかに凌ぐ圧倒的な演技力で応えてみせた。「ぜひ今年度の各映画賞で主演女優賞を2人にとってもらいたい」と上原Pも感嘆する、この2人なしでは絶対に到達できなかったであろう至高の作品が誕生した。